18.世田谷パンめぐり 〜「パンある」オフ1日目〜



6月第一週の土曜日。

カリフォルニア留学中のAちゃんの呼び掛けで実現した

HP初のオフ会の第一日目は、世田谷パン屋さんめぐりだ。


呼び掛けに集まってくれたのは

グルメ友達のSさん、

茨城どぶ汁mちゃん、

福岡出身のスクワット娘Nちゃん。

桜新町11時、世田谷パンツアー始まり始まり!




桜新町…といったら、やっぱりこの店しかない。

(というか、この店があるから桜新町に行くわけで)

パン好きなら一度は巡礼する巨匠の店「ベッカライ・ブロートハイム」。


私はかつて桜新町でアルバイトをしていたこともあって、

学生のころはここのパンを買って、近くのファストフード(KF)に持ち込んで

こっそり食べていたことを思い出す…。

(*私はこういうことをしょっちゅうやるけど、

よいこorレディーは真似しないように(笑))

もちろん、現在もよく足を向ける店の一つである。


11時はバゲットがちょうど揃っている時間。

昔バイト時代は12時ころに休憩が入るので、

いつもいつも買えなかったものなぁ…。


ここのバゲットは、いわば「王道」のバゲットだ。

素で食べるのではなく、あくまで食事の添え物としてバゲット。

近年はすっかり素で食べられる甘いバゲット

(銀座赤坂Pや、おフランス系ブーランジェリーなど…)の味に慣らされてしまって、

私にとっては出番が少なくなってしまったタイプのバゲットだ。


ここのバゲットは何度食べても別格だと思っていた。

生で食べた時の完成度が高すぎて、

バター不要、ナイフ不要(歩き食いで減るから)。


バゲットに限らず、何を食べても「卒なく旨い」。

バゲット以上に、私はこの店のドイツパンが好き!!

フォルコンブロートは、この店のものが一番好きだ。


最近改装し、新しく大きくなったブロートハイム。

「早く選ばなきゃ後ろがつかえてる…」

というプレッシャーはなくなった気がする。

…でもやっぱり前の狭い店構えの方がよかったなぁ…

「パンが迫りくる迫力」みたいなものがあったから。

今度のお店はパンと自分の間にちょっと距離を感じてしまった。



***



付近に住んでいたことがあるというNちゃんのナビで、

適当な公園を目指しつつ、もう一つの目的の店へ向かう。


明日の「第2日目」に合流する「ベーグルを穴から食べるAちゃん」

数日前に「プレ世田谷パンツアー」を遂行していた。

その時に発見したのがこの「グランマ」のクロワッサン!!

おぉ、これはどう見ても私の大好きなパリざく&層は生焼け的クロワッサン?!

そのレポを読んで絶対に今日の世田谷ツアーに組み込もうと思ったのだ。





駒沢にあるこのお店は、とっても小さなこじんまりとしたパン屋さん。

パンは天然酵母でひとつひとつ手作りした愛情溢れるものばかり。

店構えなどは違うけれど、胡椒入りのベーグルを見た時には、

要町のパン屋さんを思い出した。


お店のおばあちゃん(だからグランマと言う店名らしいのだが

そう呼ぶには失礼なほど若い!!)はひとつひとつのパンを

丁寧に説明してくれるので、ますますあれこれ食べてみたくなる〜。

あぁ、明日がなければもっといろいろ買えたのにな。


***



グランマのすぐ側の公園でここまでの戦利品を広げることに。

みんなでお手製惣菜を持ち寄って、パンを並べて…。

6月の土曜日にこんなに晴天に恵まれて最高のパンピクニック日和!!



NちゃんもAちゃんも料理上手!

手の込んだ惣菜を披露してくれた。

そして、買ったパンたちを切り分ける…。



Aちゃんの持ち寄りブース。

人参とドライトマトのサラダに噂のカヤジャム、 ナツメやし、アーティチョークまで!

たくさん買っていたAちゃんのパン、ほとんど全部分けてもらってしまった。

本当にありがとう!



ブロートハイムのバゲットにカヤジャムを塗って。

私はカヤジャムは初体験だけれどもみんなで一致したのは

「タマゴジャム」って呼んでもいいくらいに、

ココナッツよりもタマゴの風味が強いってこと。

そして、思った以上に美味しいってこと!

近ごろはこれに厚くスライスしたバターをサンドした

「カヤトースト」が流行っているらしいけど、

分けてもらったカヤジャムで作ってみようかな。

どこの食パンを使おうか…。




こちらはNちゃんブース。

揚げたメローを夏野菜を合わせてビネガーを効かせたサラダ。

ドレッシングに油はほとんど使っていないそうなので、

揚げ油がイイ具合に野菜に馴染んでいる。とっても爽やかなお惣菜!



Nちゃんが家から持参してきてくれたこのベーグル、

会社の近くのパン屋さんだというのだけど、

鮮烈な酸味と苦味の自家製マーマレード、これがすっごく美味しい!

中にもマーマレードは練り込まれている…のではなく、

生地のうねりに巻き込まれているような独特な具の入り方で

具の「うねり」は仙台の某べ−グルを彷佛させる。

すごいパンを教えてくれてありがとうーー。




こちらはmi_waブース。

惣菜は、NYCで何度も食べてきたセロリ入りチキンサラダ。






正直なところをいうと、今日のブロートハイムのパンは

サプライズがなかったかもしれない。

普段は感じないのに「焼きもどして食べたい…」

という気持ちがむずむず湧いてくる。

バゲットに限らず、クロワソンも、クリームパンも。

(もらっておいてそういうこと言うなって?)


しかしその中ではやはりフォルコンブロートは光っていた。

ベルリーナラントブロートと食べ比べてみたけれど、

まっすぐ過ぎるほどのライ麦の味わいもいいけれど、

いろいろな穀物が混じりあっている分、フォルコンの方が

複雑なコクが醸し出されて一層味が深い。






サプライズを感じなかった原因の一つは「グランマ」にあるのかもしれない!

ここのパン、どれもこれもがサプライズだったのだ。



まずはこのメロンパン(破片でわかりにくいけど)。

レーズン入りの、がっつんと岩のようなビスケットが

他のメロンパンとは見た目からして違う。


生地はレモンのような爽やかな酸味と甘みがあり、

口どけがすっごくいい!

対照的にハードなビスケットはバターの香りが濃くて

ぼりぼりした食感がイイ意味で「メロンパンらしくない」。




ベーグルは黒胡椒入り。

胡椒はそれほど強く効いていないけれど、

逆に子供にも優しいパンということかも。


そして…クロワッサンがやっぱり一番!!

外皮は揚げ春巻き的にパリざくっとしているけれど、

中の層は膨らまないまま巻いたままの原形でとどまっている。

だからその分実がぎゅうぅぅっと濃縮されていて

「まるで生焼け?」と思うような食感になっている。

粉の甘みとバターの香りが同じ力強さで味わえる…。


そうそう、これが好きなクロワッサン!

「これなのこれなのこういうクロワッサンのことなのー!」

と連呼してしまう私。




これは青ノリの入った骨型ベーグル。

人間用でも構わないらしいけれど、あえてこれはお犬さまのベーグルだとか!

さすが世田谷、犬にベーグル? 贅沢すぎます。

うちの住んでいる城北エリアではありえない(笑)。


そしてグランマが私達にサービスしてくれたワンちゃんクッキー。

懐かしいバターサプレでほろほろほろ…と口どけがよくて超美味!

これはもちろん人間様用! ワン公にはお預け!(笑)

そうそう、胡桃入りのコンプレも胡桃がとびきり美味だった!


「身体に優しい素材」「天然酵母」を使っていても

頭でっかちな小難しさは一切なし。

素直に「おいしいねー」と微笑みが浮かぶ、そんな店。

「また再訪したい!」店に出会えたのは大きな大きな収穫♪



***



駒沢から歩くこと数十分。

世田谷ツアー最終目的地は三軒茶屋の濱田家さん。


私は何を隠そう、田園都市線沿線のパン屋さんの中で

一番好きなのがこのお店なのである。

名店揃いのこの沿線で…。



この店に関しては、ちょっとばかり造り込みすぎの感もある。

奇を衒ったような店構えに作務衣を来た若い職人達。

マスコミウケがよさそうなこのお店、

反発する人もいるのかもなぁと思う。

現に私の知るところでは「すっごく好きーー!」という

話はあまり聞いたことはなかったからだ。


星の数だけカップルがいるように、

パン屋さんにもぴたりと来る相性ってある。

誰に対しても名店なわけではない。

万人が満足するわけではないかもしれない。


しかし、自分が行く時は「絶品!」と思えるパンに必ず出会える。

その確率が他の人よりも「異常」に高い店って存在する。

「私が行った時に限って美味しいのかしら?」などと

うぬぼれてしまうようなお店って存在する。


そんな奇妙に「相性のいいパン屋」のひとつがここだ。

私にはこの店との相性がぴったりなんだと心底思うのだ。



お気に入りの店だけにみんなにも気に入ってもらえたら…と

半ば押し付けがましい気持ちを持ってしまう。

だから、この店に来る時は少しばかりの緊張感をも持つ。




かつて白目がひんむくほど感激した「オレンジ胡桃」は

このところ不在のようで「ゆず胡桃」がレギュラーのごとく陳列されている。

ゆず胡桃はもちろん今回も購入したけれど、画像がないので

代わりに胡桃棒3兄弟の三男坊(笑)「イチジク胡桃」でもご覧あれ。

(*画像は2003年秋のもの)



この店のいいところは、常に何かしらの焼き立てが並んでいること。

はじめて「焼きたてほかほかのメロンパン」などというものを食べたのもここだった。

少なくとも普段あまり好んで食べないメロンパンに、

「もしかしたら私、メロンパン好きになれるかも?!」と

未知なる可能性を見せてくれたのはここだった。


「ぱん」も「オレンジ胡桃」も焼き立てで食べた時の感動が忘れられない。

ソフトなむちゅむちゅパンの中ではこの「ぱん」に勝るものは

(私の中では今のところ)ない!

強烈なフレッシュさを口の中で弾けさせるオレンジ胡桃もここが一番だった。


焼き立て「だから」美味しい、のではなくて、

焼き立て「じゃないのに」美味しい、は言うまでもない。

ここが重要、アンダーライン。




小さな店に入り切らないほどに人々が列をなす。

焼き立てを捕獲、近くの公園で再びレジャーシートを広げることにした。


いや…公園に向かうその前に、

お店を出たすぐ横で私達はがっついていた。


だって…だって…!

どれもこれもがまだオーブンの温もりを抱いているのだから!


明日の水海道行きに備えてパン買いを控えている私は

食べてみたかった「食パン」には手を出せなかった。

けれど、焼き立ての食パンをほんの少し味見させてもらった時

そのまろやか〜なとろける「甘み」に確信…!

やっぱりこの店が好き〜!!


AちゃんもNちゃんも、振り向くと常に口からちろりんと

何かしらのパンをのぞかせている。

もぅ、かわいすぎるよ、二人とも!

あれだけ食べても、どうして焼き立てパンは

するすると納まってしまうんだろう…。




これが激しく美味しかった「ゴルゴン」。

コンプレ生地に熱でどろどろ状態になったゴルゴンゾーラが包まれ、

ひたすら臭くて臭くて臭くて…旨い!(笑)

極め付けはレーズン! これ、反則でしょう?!

ゴルゴンの臭みとコクにのど奥をググーッと押し上げられているところに

レーズンの甘酸っぱさが絡んできてダブルでググーッ!!

「果たしてこれは焼きたてだから美味しかったのか?」と

あとで冷めてかちかちになった状態で確かめてみても…美味だった。


公園では5人横に並んで焼きたてパンを噛み締める。


 


キャラメリゼされたバナナとマカデミアナッツの乗ったデニッシュ。

…これだけたくさんテンコ盛りしているのにサクサクっとしていて、

キャラメルバナナの甘みが潔いほど効いていて最高!!


途中、この公園でKママさんも遅ればせながら合流、

同じ三茶のドイツパンの店Eのパンもお裾分けしてもらった。

久々に食べるEのパン。ここも…好きなお店。

だけど三茶に来たら迷わず濱田家さんにのみ寄ってしまう私には

なかなか行けない店なのである。

あぁ…! 三軒茶屋に住みたい!!

「今日のお昼は『ぱん』にしようかしらEのプレッツェルにしようかしら♪」

って贅沢に悩んでみたい…!!



***



ほんっとに楽しい世田谷パンツアーだった。


みんなでどこまでも歩き、笑い、

ぽかぽか陽気の公園で

「おいしい〜!」って腹の底から言葉に吐き出し

「しあわせ〜!」って顔をくちゃくちゃにして

大好きな大好きなパンをほおばる。


美味しいパンが世田谷には確かにたくさんある。

一人で食べても確かに美味しさは味わえる。

けれどみんなで食べたからかな、

いつにもまして「世田谷パン」パワーに圧倒されてしまった!


明日は「パンあるオフ」2日目、R'Zopfのモーニング!

…そして水海道Nicolasでは…

まだまだ感動にどん欲な私達である。