15.極上フレンチの昼とブルネイの夜、備忘録


しばらくごぶさたしている方と「今度フレンチでもいきましょーよ」と話していたら、

なんとそう、ピエールガニェールの予約を入れてくれてしまったのである。

2ヶ月先まで予約の埋まっている人気のお店。私もオンナ! 受けて立つわ???


ディナーでも1万円越えるようなことはそうそうない庶民派パン好きの私、

まさかランチで1万円、ワインなどもろもろ込みで18,000円!!

今月、もう一軒1万越え(いや、ディナーだから2万越え必至だな、、、)

するレストランに予約が入ってしまっている…、

…今月の私、どうなっちゃうの(笑)



しかし…この1万円ランチ。

すばらしすぎて、、、ちょっと言葉にできないな…。

満足度が全然違った。

会計するときに、なんのためらいもなく、すぱーんと払えてしまった。


そして、夜は夜で昼に負けないほどにすばらしいひとときを過ごした。

そんな1日を美味しい画像とともに備忘録として…。







表参道はプラダの隣のビルの4階、ピエールガニェール。

トイレは赤い鏡張りで鍵をかけ忘れるくらいにおちつかない仕様(笑)。


一同揃って席に着き、シャンパンをボトルでオーダーして、乾杯♪

小さな小さなフィンガーフーズが登場する。なんて皿数が多いのだろう!

てっきりアミューズかと思いきや

これはまだコースを決定する前の……お、お通し?(笑)






セロリの鮮烈な香りが一面に香るフィナンシェ!

でも口に放り込めば、セロリの青臭さは影をひそめて、フィナンシェの甘みが広がる…!






鮮やかな色彩感覚は、食べ物というよりもパティスリーに迷い込んだかのよう。

イカ墨で炒められたパン粉に生けられたのは、サフランで黄色く色づけられた煎餅

(すみません、、、表現が稚拙です)

このイカ墨パン粉はあくまで飾りなのだけど、ちょっとお塩のように指につけて食べてみると、

それだけで調味料になりそうなお味! もったいないよーー。





ピエールガニェールのパンはメゾンカイザーから特注しているそうなのだが、

このほんの1センチ四方のライ麦パンがほんっとに美味しい…!

しっとり粘着性を帯びた保湿量と、すぐにコクマロにスイッチする酸味のバランス…! おいしい…!

この時点ではカイザーのだとはわからなかったけれど、

こんないいライ麦パン作ってたんだーー?

え、まさかパンはこれしか出ないなんてことないよね?(笑)






…なんのライスコロッケだったか?(笑)

こんな小さなライスコロッケのためにいちいちスプーンをよごすなんてなんか贅沢すぎる…。

皿の数ほど、カトラリーの数ほど、グラスの数ほど、贅沢さは増していく…。



以上が、前菜でもアミューズでもない、あくまで「お通し」(笑)

もうこれで十分楽しんだし帰っても悔いは残らないくらい(笑)




ここでようやくコースを決める。

もしこの「お通し」だけで「急用ができたんで帰ります☆」なんていって中座したとしたら、

これでいくらお会計になるんでしょ???(笑)


1万円のデジュネ、その下は7000円台、その下は5000円台の3コース。

全員1万円に即決☆ さすが…美味しい物のことしか脳にない(笑)。







パン3種。一目瞭然、カイザーのプチバゲットと、さつまいものパン、

そしてガニェールでしか食べられないオリジナルのパン・キャレ(美味!)。

ハード、セミハード、そしてソフト。

塩気、ほんのり甘め、甘め。

味も食感も3通りのパンを用意するところにアタマがさがる…。

パンは2回もお代わりしてしまう始末。


私の欠点、「メインが来る前に前菜とパンでお腹いっぱいになってメインにたどりつかない」…のだが、

まだアミューズの段階なんですけど(笑)。前菜まだ来てませんけど?!




「夏」のコース、アミューズは(なんと!)5種!





・鶏胸肉のブロシェット “イッチョ”





・アーモンドミルクのジュレ 黒ビールのシロップ






・西瓜のソルベ 酸味を効かせたルッコラ






・赤ピーマンのロワイヤル イワシのタルタル

・野菜のナージュ 軽い燻製香 “メロン・赤スグリ・黒オリーブ”のキューブ

(あ! このコンソメスープだけ画像がない!!)


…ね?

これでまだアミューズだなんて言っているんだもん、

これでもし帰ってしまっても全然後悔しないはず…???




ワインを白ワインにスイッチし、お次は前菜(まだ前菜!)。





「香ばしい玉葱のジュレと生牡蠣 コンテ・赤ビーツ・メルバトーストを添えて


このレストランはサーブの仕方も独特で、先に土台だけを提供し、

後から目の前でメイン(この皿でいえば生牡蠣)を置いたり、

ソースを後からかけたり、といった「見せ場」を設けるのがエンタメ性が高いところ


そういえば、随所にパンが効果的に使われているのがわかる。

ここにも薄いパンがコンテと合わさって。

冷たいジュレととろ〜りとしたミルキィ肥満牡蠣…美味しくないわけがない!



あっさり書き進めるけど、いちいちどれもものすごく美味なのです



ようやくメイン、まずはお魚!





「スズキの厚切り サラソンクリームとアニスのアンフュージョン

クレソンと蕪のサラダ ジャガイモのマリブ仕立て


最初にソースのない状態で出されてからソースを下にもかけられ、上にもタルタルをかけられる。

さらに、別皿で提供されるジャガイモのサラダには、パインがたっぷり入っていて、

味覚を前後左右に振り回す…翻弄されっぱなしでたまらないー!




コースも終盤戦、今度のメインはお肉!






「鴨胸肉のエギュイエット 桃のコンポート ビガラード

ジャガイモのゴーフレットとアリュメット」


鴨肉の下にしかれているのは、どことなく和風、

焼き肉のタレ並みに濃厚なソース(どういう例えだ、、、)に桃のコンポートが意外なかくれんぼ。

この濃厚なソースがどうにもお酒をすすませる…。

もし、ご飯があれば丼茶碗でがつがつ食べたいっっ!(このソースは明らかにパンよりご飯ー!)

別皿の添え物もあったことをお忘れなく。一体このコースは何枚の皿を使うのだ、、、




メインが終わるころ、「もうこの夢のひとときも終盤なのね…」とセンチメンタルになるものだけど、

ところがどすこーい、デセールがすごい。

話では3皿も出てくるというが…プチフールも合わせたら、いったい何皿でてきたって?!






しっとりとした杏仁風味のクッキーと、ショコラ、そしてピスタチオのパイ(?)。

画像にはないけれど、何かのババロアみたいなものが出てきた記憶が、、、

ああ、カンペがないともう書けない(笑)。






やわらかい酸味のプラムのコンポートにはグラハムクッキーみたいなものが混ぜられ、

ここでも麦との融合がはかられている!

そしてまるでただのソースに見えるのに意外な食べ応えがあるカシスのババロア。

このババロアもそうだけど、なんでも「二層、三層…」と、

下に何かを隠し持っていないいないばぁしているところが心憎い…!!






オレンジのムースを凍らせたバトンの上にオレンジのコンフィチュール、オレンジのソース、

下にもなにか何層かに折り重なった何か、が。ああ…この一皿をかたづけたらもう残るは最後…






ショコラづくしの一皿。一見薄いグリーンに見えるのは、

ホワイトチョコで薄くコーティングされた「チョコレートの水」。

一体どういう風にして作ったのか忘れてしまったが、一口かじるとラム酒がぶわっと決壊!

酒好きの私でもむせかえってしまったほど。これは下戸では車運転できないっす!(笑)






ハーブティーも、私はレモンバーム、別の連れはラベンダー。

同席者と違うものを頼んでも、なんにでも対応してくれる…。

コーヒーであれば、頃合いを見計らってカップごと2杯目をさしだしてくれる…。

だからでしょう、時計をみればもう4時! 12時入店で4時退店…。

ああ、4時間のランチコースだなんて…!



お酒を飲まなければ1万円(プラスもろもろでも13,000円くらいかな?)、

合計18,000円の大満足ランチ、これはほんっとにほんっとにほんっとに、

なんて有意義な時間とお金の使い方だっただろう!!!


…今から再訪のための「ガニェール貯金」でも始めよっかな(笑)








そして17時に私は赤坂へ。

何度もDIARYで登場しているが、元・地元友達のライブに出かけた。

彼女の歌が本当に好きでちょくちょくライブにも足を運ぶのだけど、

今夜はライブが無料の上に、なんと「ブルネイ料理」が振る舞われるという!

彼女はブルネイと日本人のハーフであり、今日は彼女のママが現地の料理を作ってくれるそう。







料理を食べながらのライブ聴取。こういうスタイルって珍しい!

料理は5種類くらい、画像はちょっとカラメのミーゴレン。

シンガポール料理、マレー料理、インドネシア料理…その辺の東南アジアと似た料理で、

とっても食べやすくて美味しい!






中でも絶品だったのはチキンライス。

生姜とネギが強烈に効いたソースを絡めながら食べるライスがほんっとに美味しくて美味しくて…。

昼の豪勢なランチがまだ残るお腹に、これでもかこれでもかと詰め込んだ。


料理でひとり友達をつったものの…私はやっぱり目的は彼女の歌だったわけで。

もう2年も前から彼女の歌をずっと聴き続けているけれど、

こんなに私の心にストレートに届く歌声を、私は他にしらない。

同行してくれた友人も、心から楽しんでくれた。

真剣に聴き入る、見入るまなざしが本当に嬉しかった。ありがとう。


昼のランチの値段の何分の一かの料理だけど、満足度は天秤にはかけられない、

この夜のライブは、ほんとうに心から楽しませてくれた。笑った。そして泣いた。

…嘘。泣きそうになったのをこらえてた)

たくさんの痛みを抱えながら歌に魂を込めて放つ。

私がいつも表に出せない奥底の痛みを、代わりに浄化してくれるかのような…。


…私も消えぬ癒えぬ痛みを抱えながら、

あの町に帰るよ。ほんとにありがとう。


奇蹟のような、昼と夜…。

2007.8.4