3.ベーコン・エピ




麦の穂(=epi)をかたどったベーコン入りのフランスパン。



焼きたてのパチパチ音をならす穂先をひとちぎり、

カリッと軽快に噛みつけば、

じゅわじゅわと生地に染みこんだ

ベーコンの脂の旨みが口の中に染み渡る。

マスタードの酸味と

アルコールのようなさわやかさがぴりっと引き締め、

粉と脂の旨みを調和する。

そしてもうひとちぎり。

こんな楽しみがあと5回も残っている。



私は元々ベーコンが好きだっただろうか?

肉が苦手なハズなのに、いつから好きになったのだろうか?


きっと、このベーコンエピとの出会いからかもしれない。

シンプルなフランスパン生地には動物性脂肪が一番合う。

時にはバター、時にはチーズ、そして、ベーコン。

絶品のフランスパンを焼ける店なら

ベーコンにも抜かりない。

熟成された臭みのない、

最高級のベーコンを巻き込んでいるはずだから。



ベーコンエピはどんなに時間がなくても

そのまま食べるなんてことはしたくない。

ベーコンの脂が十分に浮き上がるまで焼き戻して。

肉の旨みが生地に染みこむまで待って。

クラストがパチパチっと鳴るまで待って。


かけた手間ヒマは必ず報われる。

試しに1個はそのまま食べてみて。

試しに1個は焼き戻して食べてみて。

違いは火をみるより明らかなはず。


大丈夫!

なくなるなんて、言わないで。

エピはまだまだ4個も残っているのだから。







お気に入りベーコンエピたち

* こちらの更新は2005年で終了しております *


タイユバン・ロブション@恵比寿

画像のもの。写真を撮ってみて、意外に

無骨なルックスだと気が付く(笑)。

絶対的に信頼をおいているバゲットの店ゆえ

これ以上に美味しいエピはまだ出会えていない。

ベーコン、マスタード、全ての要素が集約している。


ペルティエ@赤坂・銀座

やはり美味しいバゲットの店ゆえ

当たり前に美味しいのが期待通り過ぎて困ってしまう(笑)。

赤身ベーコンと甘めのマスタードの風味が

むちむちと甘い甘い生地に巻き込まれて余韻が長い。

蟹のハサミのように見えてくる、甲殻類的ぷちぷちクラストが特徴的。


ムッシュソレイユ@西荻窪

先が鋭く尖った焼き色薄目の正統派エピ。

ここはフランスパン生地が素で本当に美味しいので、

冷めていたとしてもまったく問題としない。

たとえベーコンがほとんど入っていない部分だったとしても。


ロイヤルデリカ@水天宮

ホテルベーカリー「なのに」秀逸。

生地も美味しいが、ベーコンが惜しみなく

2本も使われているのがすごい。

マスタードは使われていない覚えがあるが、

ベーコンがとにかく旨みたっぷりで味わい深い。


ブロートハイム@世田谷桜新町

そのまま食べても瀕死にウマイ生地に、

スモークされた大人の味のベーコンが同時に食べられるスゴイ品。

アルコールが鼻から突き抜けるような感覚。

鋭い穂先で口の中を引っかけぬよう注意。


ヴィエイユ・モンターニュ@東京八丁堀

穂先ひとつひとつが小ぶりゆえ、生地を余すことなくベーコンと融合できる。

薄味の生地ゆえ、ベーコンの旨みが染み渡った穂先を噛み締めて旨みを堪能すると、

「この生地は、脂があってようやく完成されるのか」と納得する。

近場ゆえ、リピート率は高い。適当に扱ってもへこたれずに旨い、たくましさあり(笑)。


フレサージュ@竹の塚

オーソドックスで地味なんだけど、塩梅が見事なエピ。

マスタード、ベーコンの分量、そして生地の塩味。

すべてのバランスがよくて、温めなくても十分に美味しくいただける。


Nicolas@茨城水海道

こちらのエピにはマスタードが入っていない。

子供にも食べられるようにという配慮らしい。

至極シンプルなのに美味しい所以は、生地の美味しさに他ならない。

素焼きの土器を思い出させるような素朴な焼き色のクラムはヒキがあり。

じっくり噛み締めて甘みをじっくり引き出したい。


*その後の展開*

「マスタード入れて!」の熱い要望が届いたのか、マスタード入りも登場!(笑)

はっきりいって、オトナなら絶対マスタード入りを食べるべし。


アンシャンテ@札幌澄川

タイユバンロブション出身のシェフの店だけあって

この美味しさは多くの説明がいらないだろう。

地物のベーコンを使い、フランス産のマスタードを使う。

ひきのある見事な生地に染み渡った脂の旨みは筆舌しがたい。


はるこまベーカリー@帯広

北海道らしく、でかくて安いエピ。

しかし味は大味じゃ決してない。焼き立てのパリパリ生地に噛み付くと

おおらかな甘さが溢れ出す! ひたすら甘くて余韻が長い。

これは素のバゲットもさぞかし美味しかろう。


ぱぴ・ぱん@名古屋

ベーコンだけではなく、アンチョビ、チーズ、ペッパーも入った

ちょっと大人味。塩気の効いた旨みは唾液分泌をうながすだろう。

辛いのに、生地自体の旨みが甘みに変わる、その味の変移を楽しんで。

焼きたての旨さは必食!!


04年秋再食!*

ローストオニオンとベーコンのエピも食べた!! なんていう美味しさ!!

オニオンの甘さとベーコンの旨味が、カリカリカリっとしたクラストに包まれて。

だれかビール持って来て!!(笑)


ポンレヴェック@愛知蟹江

塩気が適度に効いた生地のオーソドックスなエピ。

1個1個が大きいので一口で食べると「んがぐぐ」しちゃうのでご注意を。

噛みしめれば味がじわじわ沸いてくる。その瞬間までじっくり咀嚼して。


フール・ドゥ・アッシュ@大阪

なんとこちらのエピは生ハム入り。

白髪ネギと一緒に、くすんだ鈍色のテカリのない粗野な生地に包まれる。

強烈なパンチェッタの臭気に一瞬驚くが、その後にずっと漂うコクにさらに驚かされる。


ボン・ボランテ@京都

生地自体の美味しさもさることながら、

エピではあまり味わったことのないタイムの強い芳香。

これが、「どうしてエピなのに?」と一瞬嬉しい迷いを生じさせる。

ぜひ焼き立てをほうばり、ベーコンの裏側をめくってみてほしい。


サイラー@福岡

…現在、「かつてないほど美味しかったエピ」独走中。

いや、併走しているエピもたくさんあるが(笑)

とにかく焼き立ての美味しさはこれが一番だった。