3.冷凍パンだっていいじゃない〜冷凍編〜



パンを好きだという人に。
パンにはまりだしていろんなお店を巡っているという人に。
パン屋さんに行ったら理性が抑えられず
食べきれないほどに買い過ぎちゃうという人に。
パン屋さんガイド本を買う前に、
ネットで情報を集める前に、
まず手に入れなくてはいけないものがある。

それは「パンの冷凍術」。
これを抜きにはパン話は先に進めない。
パン好きイコール冷凍&解凍術のマスターでないと始まらない。
パンめぐりが好きな人はまず間違いなく、
冷凍・解凍・焼き戻しがうまいのである。
行く先々でパンをいくつも買い込めるのは、
冷凍解凍後に丁寧に焼き戻ししたパンが、
買いたてのパンと遜色なく美味しいと言うことを
よくわかっているし、毎日それを味わっているから。

パン好きには「なにを今更、当たり前なことを書いているの」と
笑われてしまいそうだが、実はあまり一般常識ではないらしい。
なのでちょっとここでスペースを割いて
パンの冷凍について語らせていただきたく。

パンを冷凍する、と普通の人に話すと、たいていの人は
「そんなことしたら全然おいしくなくなるでしょ?!」と
いぶかしげな顔をするだろう。
そこで私はその人をつかまえ、
いかにパンにとって冷凍保存が向いているかを
切々と訴える説教タイムが始まる。
たいていの人は「ひく」(出たな、パン語)。
ある人は「冷蔵庫だって冷える
プロセスには変わらないでしょ?」と
反論してくるが、困ってしまう、
どうやったらその違いを説明できるのか(笑)。

正直な話、私が最初に冷凍技術(と胸を張って言えるものじゃないが)の
重要性を実感したのは、ご飯の冷凍保存である。
○年前、まだ私がパンよりご飯率の方が高かった時代(笑)、
我が家の炊飯器がまだ稼働していた時代、
(今はクモの巣が張っている)
炊きたて状態のまま、ご飯粒をつぶさぬようにふんわりと、
茶碗一杯分でラップしたご飯を
ラップをしたまま2分、ラップを外して30秒程度。
おそらく、目かくしで食べれば、炊きたてのご飯と冷凍ご飯の味は
よっぽどの「効き米師」じゃなければ区別はつかないはず。

パンのほとんどは水分でできている。
時間とともに抜けていく「水分」を
「パンにとじこめること」が鍵の気がする。
これはご飯にも言えるわけで。
生地の劣化の科学的プロセスはあまり詳しくないけれど、
目の前でみるみる水分が飛んでいくパンを目の当たりにするのは耐え難い。
それがパン屋であれ、レストランであれ、人の家であれ。
できればパンは夜には買いたくないのはそのせいだ。

その日食べきる分だけ買うのが望ましいとはいえ、
やっぱりいろいろ買ってみたいもの。
いろいろパン屋さんに行ってみたいもの。
それならしっかりその日のうちに即日冷凍して楽しもう。



mi_wa的 冷凍術(…といっても超普通(笑))


(1)冷凍庫スペースを確保


これが意外に難しいが(笑)。

私の場合は製氷皿もとっぱらってパンオンリーのスペースを確保。

生臭いものは基本的に冷凍しておらず、もっぱらパンと野菜のみ。

あまり詰め込みすぎないように心がける。開閉も迅速に。

mi_wa冷凍庫はご覧の通り小さく、しかも手前の開閉式。

理想は冷気が逃げない引き出し型なのだが…。



(2)ラップ


パン好きにとってラップ消費量は激しい。

私もとりもなおさず2週間に1本は買い足している。

「サランラップ」はお値段が張るだけあって強度と刃の切れ味は抜群。

ただし硬めで厚めなので冷凍庫で乾燥すると はだけやすいという短所もあり。

経済性&エコロジー性を考えるなら、刃だけ残して別の環境系ラップを 移し替えるといい。


 

モデル…「パン・コンプレ」ナイーフ@中目黒


(3)包み方


理想は焼き戻してからカット…だが、

朝はいろいろな種類のパンをいくつか組み合わせて

少しずつ食べるのが一番楽しみ。

「今朝は何を食べよう♪」と冷凍庫の前であれこれ悩むのも

幸せな朝の姿である。そのため、冷凍前には、

いくつか食べられるような大きさにカットしておく必要がある。

それを1個1個ラップで包んでいると週に1本どころの話じゃない。


そこで私は、カットをし、その断面をぴったりくっつけて

まとめてラップをする。これならば表面から乾燥しないし経済的である。

水分が多いパンほどぴったりはりついているので、

そういう場合はナイフでパコッと分離させてあげよう。

これらの作業はスピーディーに。すぐに残りは冷凍庫へ戻す。

邪道といわれそうだが、このラップ節約術でも十分美味しい。


要は、さっさと食べきっていつまでも冷凍庫に入れておかないことだ。




番外編

ここでmi_wa式クール便術を紹介。


戦利品のパンたちを一通り試食しながらカッティング、ラッピング。

(当日の味を確認しておくのは必須。解凍・焼き戻しに失敗することもあるから)

大きすぎない段ボール箱に、ハード系を底に、ソフト系を上部に詰める。

小さめの空き箱を利用して型くずれを防ぎながら梱包していく。


パンのような軽いものは、荷物の大きさ次第で値段が変わってくるので

できるだけ小さめの箱の方が良いかと思う(もちろんつぶれないように)。


営業所での注意。

私は以前、品名に「パン」と書いて「クールで」と依頼したら、

なんと冷蔵便で送られてしまった。もちろんパンは全滅である。

「パン」は冷凍するもの、という

我々の常識は、世間では通用しないのである…注意!!


到着指定日は確実に受け取れる時を。

へたに不在通知を受けてしまったら、

「うちの呼び鈴を押すまでの間に冷凍室から

取り出されているのか…うわぁやめてくれぃ〜!」と

いらぬ心配をしなくてすむからだ。


パン仲間のi_pan_iさんは保冷剤を入れて保冷具合を確認したり、

重ためのものを同封して「アイスです」と宅急便屋に申告するとのこと。

さらに冷凍庫に入りきらないようなら、指定日を先延ばしにして

宅急便屋に「預かってもらう」形にするとのこと。これは使える。




…ここまで書いてふと気が付いた。


冷凍について語ったら、解凍、焼き戻しも書かなくてはならない(笑)。

冷凍よりも遥かに重要で、難しいのが解凍と焼き戻し。

全然未熟な自分が語るには恐れ多いほど奥が深い世界だ。

気が向いたら〜解凍編〜焼き戻し編〜も更新しなくては。

(それを語らなきゃ全然冷凍パンを語る意味がないと言われそう…(笑))


ここで言いたいことはただひとつ。

買うなら、パンをいかに美味しく食べるかへの努力を惜しまないで欲しい。

翌朝食べるパンだって、ぜひとも冷凍して欲しい。

パンの劣化は買ったときからすでに始まっている。

「美味しいパン屋さん」で「美味しいパン」を

買っただけで安心してはダメ。

買って「食べる」までの間が肝要なのだから。