122.ウツな休日、癒しのウツの宮。
3月下旬のとある週末…
私たちはテレビ番組の賞品でまさか当選した
2泊3日の海外旅行に出かけるはずだったのだ。
私の体調が整い、ダンナの仕事も調整がつき、
4月の再手術の前に行っておくのがベスト…と、
この3月の最終週に計画したのに…
まさか航空会社があんなことになって欠航になるなんて!!!
あんなに驚いてあんなに怒ってあんなに呆然としながら
成田を引き返してくることになるとは…。
出国のスタンプが押されても入国のスタンプのないパスポート…
せっかく買ったのに返品させられた免税品…
そもそも懸賞に当選したこと自体がアンラッキーだったのだろうかとすら…。
(翌日の振り替え便で無理に渡航しても帰国できないままになっていただろうから
今回断念したのは正解ではあったが…)
トホホな気分で迎えたノープランな週末。
そこで、ダンナが「じゃあ宇都宮の実家に帰ろう」と提案。
私が前から行きたかった鹿沼(隣町)の野菜レストランにも行こうと。
そういうわけで、癒しを求めに急遽、宇都宮日帰り旅行と相成ったのだった…
3月末とは思えないほどの寒い1日。
ああ、今頃もっと暖かいところにいたのになぁ…と
何かにつけても気持ちが鬱っぽくなってしまう。
宇都宮につくと、義父母が出迎えてくれた。
鹿沼の野菜レストランは昼過ぎに行く予定になっていた。
すると、「パン屋は? パン屋行きたいでしょ」とお義父さん。
「え。いいですよーっ。今日は全然下調べも何もしてないし(そりゃそうだ)」
「じゃあ今から調べて調べて」
そういって、パソコンを貸してくれた(笑)
数年前に見つけて前から行きたいと
タイミングを狙っていたパン屋さん。
ここにお願いします!!!
お店を構えず出張販売のスタイルを取るrecluさん。
昨年から、東武宇都宮近く(といっても入り組んだ住宅街の中)のcafeで
日曜、月曜にパンを販売しているそう。
(毎日、どこかしらのカフェや雑貨屋さんに出向いて販売している)
古い小民家を改装したカフェで、recluさんのパンがある日は
パンも中で食べられるよう。
つぶあんとカルピスバターをはさんだサンドイッチ。
あんバターというものは…味だけでなく、心への和み効果が抜群だ。
苺ジャムのサンド。
私はいちごみるくサンド、と名付けたい。
苺ジャムのまぜたバター(?)がとってもまろやかで
和む和む! さっきから和みっぱなしの私。
落花生とあおさのりのパン。
堅めのピーナツが香ばしく、こりこりと口当たりがいい。
あおさのりの香りがどことなく懐かしい。
そういえば、パンの香ばしさがどことなくおかきを想わせる。
ダンナにひとくち食べさせると
「父ちゃんが前にこういう餅を作っていたなぁ」
なるほど、これは栃木のふるさとの味なのね。
他にもかぼちゃのブリオッシュや菜の花&じゃがいものキッシュなど
「もともと食べ歩きが好きだった」とおっしゃるお姉さんが
これまで美味しい、しあわせ、と感じてきたものを
共有できるパンたちを楽しんだ。
家屋の佇まいそのもの、古い家具やアイテムも素敵だが、
一番素敵だったのは、パンとお菓子そのもの。
最近、埼玉のこういう小民家風のカフェやパン屋さんに
行くことが多いのだが、パンと和のインテリアというのは
お互いがかけがえのないほど調和する組み合わせなのだなぁと
実感させられることが多い。
まさしく、ここもそうだった。
ごはんじゃそうもいかない。
そう考えるとパンって、食べ物としてはもちろん、
雑貨にもアートにもなる。
私がパンに惹かれるのは、そういうところもひっくるめているんだな。
改めてそう感じた。
きっと女性らしいかわいらしさが詰まったこのパンたちなら、
日替わりで出張するお店ごとでいろんな表情を見せるのだろう。
明日はまた別のお店で。週末はまたこのcafeで。
*
さて、「父ちゃん」の運転する車は隣町の鹿沼へ。
非常にのどかなローカルタウンなのであるが…
ここに、前から行きたいと思っていたフレンチベジタリアンの
レストランがあるのだ。
きっかけは、昨年10月に行われた手作りのみの市「もみじ市」にて。
(DIARY2009年10月10日参照)
すべてベジで作られた前菜の種類の豊富さ、
奇抜なアイデア、センス、そしてそのお味。
(特に、海老フライに見立てたニンジンのフライは強烈なインパクト!)
ダンナの実家に近いということもあり、実は狙っていたのだ(笑)
まさか、このタイミングで来られるとは、
よくも悪くも想定外だったわけで…(とほほ)。
「こんなところにこんなおしゃれなお店が」
とは、いろんなところで思うものだが、
ここもまさしくそのひとつ。
いや、ひとつどころか、お洒落なカフェやコーヒー屋さんが
3軒、ひとつの「横丁」を形成しているのだった。
その名も「ネコヤド路地」。
レトロなベンチに、レトロな看板。
猫がひょっこりでてきそうな(それも、サザエさんのタマみたいな?)
そんな路地裏の一番奥にあるのが「アンリロ」さん。
「のどかな田園の中にあるレストラン」
まったく事前情報を仕入れないまま、
イイ意味で勝手な先入観を抱いていた私。
それを裏切るかのように、住宅地の中にある普通の民家だったとは驚き!
店内は、テイストが二分されており、
入口とキッチンの方は、白くペイントされた明るいフレンチカフェ。
奥の方は、アンティーク家具がいっぱいで照度もぐっと落としたシックな空間。
思い出したのは、黒磯のあのカフェみたいだ、と。
ランチコースは「アン・ドゥ・トロワ」の3種類。
「アン1」は、ワンプレートにパンとお野菜がてんこもりで1100円。
「ドゥ2」は、サラダとパスタで1400円。
「トロワ3」は、スープ+前菜+メインごはんで1700円。
(いずれもデザート&飲み物つき)
(なんとお子さまランチもあるところが都会のカフェでは考えられないところ!)
私と「母ちゃん」は「トロワ」のコースを。
がっつり食べたい系のダンナ(笑)と、
こだわりがそんなにない「父ちゃん」(笑)は、「ドゥ」のパスタを。
(パスタについてくるサラダは、葉っぱの下に仕事された多種の野菜がたっぷり!
パスタはキノコたっぷりで、キノコ天敵のダンナには酷だったようだ(笑))
やっぱりこれは前菜3種もりがついたトロワにして正解!
ほら、あのもみじ市で感動した前菜が3種類も!
彩りだけでなく、高低差をつけてビジュアル的にもヒキがある!
蓮根のフライには、豆のタルタルソースがたっぷりと。
すっごく美味しくて足りないと思うくらいだったのだが
いかんせん食べにくくて突破口を見つけだせない(笑)
リンゴ煮を下敷きに、でんっと鎮座するカブ。
中にサンドされているのは、なんと苺で染めたウド!
本当にほんのりと苺の香りがする。こんなのはじめて!
大根とエリンギのソテーは、バジルソースを添えて。
こういうセンスで出すお店がまさか鹿沼というこの町にっ。
メインのごはんは、春の山菜がモリテンコ。
シイタケ、フキノトウ、たらの芽やナバナのフライに、
ごはんの上にのるのはフキ味噌。
まるで肉味噌を食べているかのようなしっかりと濃厚な味わい。
デザートは抹茶のパウンドケーキ。
お茶には、3種の砂糖と、シナモン、ラム酒まで自由にカスタマイズできる。
手間ひまに反してこのお値段。
わざわざ来るにはあまりにもローカルな場所だけれども
人は良い店に対しては場所を選ばない。
満席で賑わうこのお店やこの路地を思うと、
パン屋にしろレストランにしろ、場所で言い訳は出来ないものだなぁと
毎度のことながら思わされるのだった。
いやー、栃木。
栃木の食は奥深い!!!
*
これで終了だと思ったら大間違い。
父ちゃんが「蕎麦も食っていくか?」とな!
父ちゃんは仕事でいつも車に乗っているのだが
決まって昼は蕎麦なんだそう。
栃木中の蕎麦屋を片っ端から行っているのでは?
というくらいに制覇しまくっている(実は)すごい蕎麦通。
画像を撮っていないのが惜しいくらいに
さらにさらに山へと入っていく。
のどかな田舎風景…を通り越して、
「携帯入るのか?」と心配するくらいに山の中へ(笑)。
名前を携帯で調べていると、「ドライブイン」と出て来たが
どうやら「ドライブイン」でありながら
すんごい蕎麦を出す店らしいのだ。
静かな山の中にある一軒家のお店。
まさしく蕎麦屋の佇まいで、近年改装されたのかとてもきれい。
「昼はすごく並んでいるんだよ」と父ちゃん。
メニューを見ると、うわぁ、ホントにドライブインだ(笑)
蕎麦だけでなく、ラーメンも和食も中華もなんでもある☆
しかし、ここは蕎麦目当てにわざわざ遠方からお客が来るお店。
提供の仕方がすごい。
5合のお蕎麦を頼むと、
大きなザルに5人分の蕎麦が盛られてくるのだ。
対象物がないからわかりにくいかもしれないがこれは圧巻!
腹八分の私には、1人前食べ切れなくても、
大食漢のダンナがフォローしてくれるわけだ。
といいつつ…ここの蕎麦がものすごく美味しくて
ゆうに1人前以上を食べた私(笑)。
平たい麺はコシが強くてつややか。
さらに同じく名物であるという唐揚げが超ーー美味☆
わぁん、腹十二分になっちゃったよー!
さらに宇都宮のおうちに戻って「母ちゃん」の特製おでんを
いただいて、腹十五分(笑)。
とんだトラブルで飛んでしまった私たちの海外旅行が
まさか宇都宮で癒されることになるなんて。
父ちゃん、母ちゃん、ありがとう!!
…帰りに、「正嗣」の餃子(ダンナの大好物!)
を10人前、
さらに鹿沼で寄ってくれた大福屋さんの豆大福6個(笑)などなど
お土産たっぷり持たせてもらって私たちは東京に戻る電車に乗り込んだ。
2時間の道のりは、心地よい疲労と極端な満腹感で(笑)
醒めることなく爆睡のまま、あっという間に過ぎていったのだった。
2010.3.28
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