106-1.栃木路、激走パンロード! 〜益子編〜


7月の3連休。
18きっぷが使えるようになるのは、中日である20日から。
初日の19日から動きたいのになぁ〜と、
旅行のプランは一転二転。
最初は長野へ行こうと思っていたり、
次に新潟、金沢に行こうと思ったり、
名古屋計画も立てた。千葉房総プランもあった。

…しかし、つい2日前に突発的に那須行きを思い付いたのだ。
そうだ、この連休は那須に行こう!
本当に突発的な思い付き!



そうなったら、一番楽しい旅のプランの始まり始まり!
まず「点」を選ぶ。
そして、「点」が決まったらそれを結ぶ「線」を決める。
「線」を決めたら、周辺で見どころを探す「円」を描く。
そうやってどんどん旅のプランは風船のようにふくらんでいく。
この過程が一番楽しく、一番悩ましい。
交通手段は? 日帰りで行けそう?
宿泊するならどの地点がふさわしい?


数時間のうちに、突然候補にあがってきたのが焼き物の町、「益子」。
興味のあるパン屋さんがあるのだが、どうやらこの町自体も
とても見どころが多そうだ。

さらに鉄子(=鉄道大好き女子)である私には、
なんといっても乗ったことがない「真岡鐵道」に興味がある!
なんと、土日だけ1往復、SLが走っているんだって!!!
もう、これは絶対なにがなんでも乗るっ乗りますっ!


那須といえば、クルマで行くのが常套手段だけど…
今回は、あえて「レンタカーは使わない」を命題にした。
モットーは、安上がりな旅!
お金はパンにだけ惜しまずに!
あとは全部惜しめ! 惜しむのだ!!!

…しかし、この頑な決意が、
あとでとんでもな展開を招くことを
このときのmi_waは知る由もなかった…
(朝の連ドラ風ナレーターで読んでください(笑))






まずは宇都宮線で小山まで。
そこから水戸線に乗り換え、下館まで。
ここまでJR。ここからは真岡鐵道に乗り換える。
18きっぷは明日からしか使えないけれど、
JRで2500円以上超えなければ損にはならない。
なんせ、この真岡鐵道は、関東鉄道と同じくえらく運賃が高い!!

普通運賃に加えて整理券500円を追加すれば、週末限定運行のSLに乗れるのだ。
うわーーーっ。ほんもののSL!!
ものすごい汽笛、蒸気がもくもく。
親子連れや鉄道オタクたちが写真を構えている。
わーいわーい、私も撮るーーっ。
鉄子の体内鉄分がドゥワーっと脈打つ瞬間!

先頭車両のみ蒸気機関車で、あとは普通の車両をつなげているだけ。
しかし、全開の窓からはススが入ってくる!
煙の匂いもまるで銭湯から出てくる煙りの匂いのよう。
車窓には、東京と同じ関東とは思えないくらいにローカルな風景が!
頻繁に汽笛の号音が聞こえる。のどかな田舎風景に響き渡る。
感動もひとしお、なんて素敵な夏休み!!!

車内販売も面白い。
キャビンアテンダント…と呼ぶには50歳くらいサバを読んだような
おばあちゃんたちがワゴンを押して
ビールや飲み物、そして限定アイテムを売る。
私はビールと、SLの格好をしたコスプレキューピーのストラップを購入(笑)。

ほどなくして、益子駅に到着。
真岡鐵道の沿線の駅では、レンタサイクルをしている駅が多く、
さっそく、益子駅で自転車を借りた。
電動自転車なのでラクチン!
しかし異常に暑い。肌がみるみる黒く赤くなっていくのがわかるほど…

益子は実にローカルな田舎町で、
益子焼きのお店が並ぶ焼き物ストリートを離れるとたちまちこんな田園風景に。
「このあたりにお目当てのパン屋さんがあるはずなのだが…」
まさかこんな場所にあるわけないよなーーっと思いつつ、
どんどん風景は田舎度を増していく。
さすがにお店らしきものは見当たらず、電話をしてみたら
やっぱり全然見当違いな場所を走っていたらしい(笑)。
急遽来た道を引き返す! ひぃー、猛暑のチャリ漕ぎはきつーい!







焼き物ストリートからチャリで5分程度。
森の中へ入っていくと…
うわぁ! ここ…?!
たっぷりとした木々の中に、まったく違和感がない木の家が!
ここが、益子でぜひ来てみたいと思っていたパン屋さん、
ムシャムシャさん。

これまでもたくさんの「ナチュラルな」パン屋さんを訪ねたが
これも究極にすてきな、まさに夢から飛び出して来たような…!
絵に描いたような、ここが日本とは思えないような、
おとぎの国のような…ほんとうに、ここはどこ?!

コーヒーがいただけるカフェとは別の入口で、
パン売り場が併設されている。
やばい…すべてが絵になりすぎて、
どこを切り取っても「名カメラマン」になってしまったかのような
イイ意味の勘違いをさせてくれてしまう(笑)

すべてが「手作り」でたてられた小さな小屋のパン屋さん。
女の子がパンを焼いているよう。
ダンナさん(と思われる男性)がコーヒーを煎れている。

バゲットや食パンは薄い焼き色の素朴な風合い。
小さなパンは、どれも女の人の手で作られたであろうかわいらしさがあふれる。
目に入るものすべてが可愛すぎる(泣)

メニューを見ると、スープとサンドのセットがいただけるようなので
パンは2個だけ購入し、あとは直接ここで頂いて行くことにした。
すべて座敷席のカフェは、これまたどこを切り取っても絵になりすぎる…

ラムボールは、ラムレーズンとクリームチーズの入ったパン。
アンノアは、手作りの餡が入ったクルミパン。
どちらも素朴。飾らない風味。

ズッキーニのスープ(美味しい!) に、ラタトゥイユをサンドしたフォカッチャ、
ピクルスのセット。もう、なにをやってもなにをしても絵になりすぎ(こればっか(笑))
イメージするならば、家カフェ。
ひとりぐらしの女の子の休日のおひるごはん。
器から盛り付けまで、なんだか「日々をだいじに、たのしく」と
教えられる感じ。ていねいに生活しなきゃって教えられてしまう。
もうもう、なんか食べるのがもったいない。

このロケーション、この佇まい、すべてがなんだか
夢のようなすてきな空間で、心が洗われるよう。
ここにきたら誰もが思うだろう、「こんな生活がしてみたい」と…
とりもなおさず、私も…






まさかパン屋さんでしっかりランチする予定はなかったのだが
当初計画を立てていたどおり、自然食のレストランへ。
そう、ランチのハシゴである(笑)。

益子は陶芸の町であるが、自然感をコンセプトにしたカフェやペンションが
とても多い。小さな小さな町なのにおしゃれなお店がすごく多い。
気になるオーガニックレストランが非常に多いのだが
その中でもこのマクロビオティックカフェに決めていた。
(もう一軒、有名な自然食レストランはのちほどお茶でも飲みに行くことにして)

地中海の洞くつのような、だけどどこかアジアンテイストな内装。
ここも内装すべてオーナーさんの手作りだという。
ひょうたんで作られたオレンジ色のランプが
すごく印象的。夜はとても雰囲気があるそう。
とにかくここもおしゃれなお店!

1400円の惣菜盛り合わせのプレート「ラパールプレート」を注文。
インドの言葉で「はらぺこ」という意味だそうだ。
ボリューム的に見ても1400円は高いのかなと思ったが
いやいやいや…料理が出て来て納得。これ、値段相応。

最初に出て来たスープは味噌汁だけど、ミョウガのようなセロリのような
独特の風味がついていてユニークなお味。
器がさすがに目をひく。

おうとつのない、まっ平らな「台」のようなプレートには
6種類くらいの趣向をこらした惣菜と玄米ご飯。
私はこれまでいろんなマクロビ料理をいただいてきたが
ここは記憶に残るくらいに味が美味しい! 内容が独創的!

キュウリをボートのように見立てて、ひじきとアンチョビ、赤たまねぎのマリネを載せている。
こんな食べ方はじめて! 味付けがしっかりなされた惣菜がきゅうりにすごく合う。

高野豆腐に梅シソをサンドしたカツや、大根の立田揚げも美味!
ごぼうのカシューナッツ和えも、これはもしかしたらパンにも合いそう!
いんげんのトマト煮込みは、母が得意だったので私にはなつかしのおふくろの味。
ジャガイモのスライスにはアマランサスがサンド。
どれも味付けが絶妙の濃さで、ご飯がちょうどいいペースでなくなっていく。
すっごく満足! ああ、やっぱり料理をちゃんとやらなきゃなーって思わされる。
なんか、さっきから自分の普段の生活を省みるパターンが多いぞ(笑)






2軒もランチハシゴしてしまったあとは腹ごなしにしっかり観光を。
まずは、ランドマークの陶芸メッセから少し離れたところにある益子参考館へ。
ここで活躍された人間国宝、濱田庄司人の自邸、工房を残した美術館である。

最初、800円という入館料にひるんだが
結果的に、非常に満足度の高い見学施設だった。
焼き物のことは全然わからないけれど、古き家屋や焼き窯を
ゆるりと散策するのはとてもとても、有意義なひとときだった。

敷地内にはあまり人がいなかったこともあり
まったりまったりと見学。

長い工房は、まだ今でも使われているかのように
器が並べられている。


圧巻は赤絵窯と登り窯!
中まで入ってもクモの巣ひとつない。
すごく手入れが行き届いており、
きっと800円もの入館料を徴収したとしても
足りないくらいに手がかかっているんだろうなぁなんて…

場所を移動して、今度は陶芸メッセへ。
ここでも美術館を鑑賞し、庭内を散策した。
このあとも栃木で何度も目にしたヤマユリ。
いたるところで自生しているよう。

陶芸メッセは高台にある。
丘から町を見下ろす。心地よい風が汗をぬぐってくれる。
ちょうど、往復のSLが走る時間だったのか、
機関車の汽笛が益子の町に響き渡る。
ここは、本当に時間が止まったかのようだ。
この音を聞くだけで「ここに来てよかった…」としみじみ思った。






続いて、チャリンコをさらに郊外へと走らせる。
益子でもっとも有名なモダンカフェへ。

工房とカフェとショップとギャラリーを併設している。
(ここは撮影禁止なので、外からパチリ。ちなみにビールを飲みました(笑))
それにしても、気遅れするぐらいにおしゃれな施設である…
益子という町がもつ自然感と、こういうカフェやショップが
見事にマッチしているというか。なんとも不思議な町だ…

カフェのお姉さんに、とあるペンションの場所を訪ねる。
ペンション兼ショップの敷地内に、パン屋さんがあったと記憶していたからだ。





おしゃれカフェからチャリンコで2〜3分。
丘の中腹に立つペンションの隣に、
小さなパン小屋が。

オーナーの女の子のお名前だろうか、
これまたかわいすぎる…
パンは「手作り」感が強く、むしろ焼き菓子が美味しそうな。

コッペパンには2種類までサンドできる。
自家製ブルーベリージャムにホイップクリームを組み合わせ。
(絵的に失敗★ すみませんー)

もう、だいぶ日が傾きしのぎやすくなってきた。
うーん、このままだと夕食が食べられない気がする(笑)。





焼き物ストリートでいくつか焼き物屋さんを物色、
(結局なにも買ってない。荷物がすでに相当重いので!) 駅に戻ったのは16時半ごろ。
自転車を返して、本日の最終目的地である宇都宮への路線バスに乗るのだ。
しかしタッチの差でいってしまったばかり!
1時間後のバスまでのんびり待つ羽目に。

宇都宮まではバスで1000円。
地図上ではそんなに離れているように見えなかったのだが、
ゆうに1時間は乗っていた。
炎天下の中自転車で走り回っていたからすっかり疲れてバスの中では爆睡。

到着したら、宇都宮ではなにを食べようか? やっぱ餃子?
いや、まだあまりお腹すいてないから、
先にドコモショップ探して携帯の充電しておこうか…
(閉店前だったので、10分しか充電できず。後々にこれが痛い目に?)


ラーメンヲタに、メールで「宇都宮で美味しい店」を教えてちゃん。
すると、宇都宮といえばこの店! というのがあるらしい。
「花の季」というラーメン屋さんで、本店は郊外にあるそう。
本店は雰囲気あるらしく、実はバスでそこに行ってみようと目論んだが
1時間に一本のバスをタッチの差で逃したので、諦めて駅前の支店「@plus」で手を打つことに。

数ある宇都宮の餃子、でも必ずしも餃子屋で食べなくても
ラーメン屋で食べる、という手もあるのでは?!
そう、ここのバカうま餃子もバカうまだったのである(笑)。

ハーフサイズの、バカうまラーメン。
名前の通り、ほんとにバカうま。
麺は平べったく細い麺で、なんかカップヌードルを彷佛させるが(笑)
スープが旨い。とんこつの乳化したまろやかなスープなのに、
煮干しの風味がはっきり浮かび上がっていて美味しいー!
大満足で店を出る。
宇都宮ではここ1軒しか行けなかったけど、本望です!





食べるもの以外は徹底的にケチろう!
…ということで、今夜の宿は、駅から徒歩圏にある、健康ランド(笑)。

ここ、ものすごくよかった。宇都宮で安宿探すならここをおすすめ。
お風呂の充実っぷりもさることながら、
なによりもここには「温水プール」があったのだ!
今どきのスーパー銭湯はお風呂は同レベルでもさすがにプールはないよね、
サウナでたっぷり汗をかいたあと、水風呂ではなく
こっちの温水プールの方がめちゃくちゃ気持ちがいい。
だって、頭ごと浸かってもいいわけだから!
平泳ぎや【背泳ぎ】をしたりもして(もちろん全裸(笑))

ぬるい露天湯も最高、からすの行水派の私には珍しく、
実に3時間半、たーっぷりお風呂を満喫。
しかし、びっくりするほど肩が焼けてたなぁ…
ひりひりして、荷物をかつぐのがものすごくつらかった…

仮眠室ではおばちゃんたちの寝息にも負けず、あっさり熟睡。
サウナや健康ランドの仮眠室は何度も泊まっているが
ここまで熟睡できたのは初めてかもしれない。
たっぷり8時間、しっかり眠った。
案外、私自身が周りに迷惑をかけるくらいに
寝息立てていたのではないだろうか(笑)。


*2日目、那須篇に続く*
2008.7.19〜20



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