101.5月さっぽろ帰省パン備忘録




北海道の春は5月。
桜が満開なのはGWのころなのに、今年は暖かかったのか
もうほとんど葉桜になっていた。

2008年のゴールデンウィークは、後半に4連休が続く。
毎年、有休をからめて海外に飛び出していた私だが、
今年は珍しく実家のある札幌に帰省していた。

家で手伝わなくてはならない所用が諸々あったので
遠出もあまりできないだろうし(ニセコとか真狩とか行きたいんだがなー)
パン屋さんもそれほど行けないかなぁと思っていたのだが
フタを開いてみればやっぱりパン屋さんづくし(笑)。

今回も旧友たちを巻き込んで、
行きつけのパン屋さん、新しいパン屋さん。
春の北海道パンの備忘録に。


07年夏の札幌パンはこちら
08年年越しの帰省はこちら





今回の帰省では、中学時代の友達Tちゃんとよく遊んだ。
彼女とは小学校中学校一緒だったけれど、その当時にすごく親しかったわけではないのに
近年、東京や札幌でよく会うようになり、今回は5日間の帰省中、2回も会った。

「私もおいしいパン屋さんいきたい!」
とのことで、案内したのは宮の森の山奥にあるパン屋さん、ルルドさん。
宮の森は私たちの校区であるので
「この辺に○○ちゃんの家あったよねー」とか
「ここの○○屋さん、まだあるんだねー」なんて
話ながらクルマはどんどん住宅地の山奥へ。

この宮の森ってエリアは高級住宅地。
豪邸が立ち並び、札幌を高くから見下ろす、札幌の「山の手」である。
子供の頃は、こんな坂だらけの不便そうな場所なのに
なんで金持ちは高いところに住みたがるのか理解できなかったが(札幌に限らず)、
…えーと、今でもやっぱり理解できません(笑)。


宮の森の一番奥とも言えるような場所に、唐突にあらわれる一軒のパン屋さん。
洞爺のウィンザーホテル内のオテルドカイザーで焼かれていた経験がある
女性がオープンさせたお店で、自宅を改装した感じの「住宅地のパン屋さん」。
札幌にはこのようなスタイルのお店が多いが、
絶対に標高は一番高い気がする!(笑)

シンプルながらセンスのよさが伺える店構えに
期待が過度に膨らむ。そしてその期待は裏切られない!

オーナーさんに写真を撮らせていただいた。
カイザー色の強い、おなじみのパンが多いのだが、
よもぎをまぜこんだチャバッタや、お目当てのあんパンなどもあり
独自性もプラスしている。

小さな空間にパンがぎゅっと寄せ集められているのってすごく好き。
あわわ、全然決められないーー。今回はあまり食事パンを買わずに
小さめの食べ切りパンを中心に選んだ。
ほんとはバゲット買いたいのだけどね〜

二番狙いのクロワッサンは残念、焼き上がりはまだだったけれど
代わりにパンオショコラが焼き上がった〜
小さな店内には工房からバターのイイ香りが広がる〜!!

せっかくこの場所に来ておいて、景色を眺めながら食べなきゃもったいない!
遠くにはサッポロの町が一望できる。
ベンチやカフェはないので、その辺の緑の多い場所で立ち食い。
わーーん、パンオショコラが熱い★
チョコが入り過ぎることなく控えめなところが生地を立てている感じ。

これがお目当てのあんパン!!
あんパンにはめずらしい、厚みのある木の葉型の形状。
一見ハード系に見える生地なのだけど、
ほんのり甘めで柔らかい生地だった。
噛み付くと、もうひとくち目から粒あんがぶにゅぅっとあふれてくるっ。
うわぁぁ〜ん、おいしい、この粒あんーー!
甘過ぎず、小豆の味わいが残っている。
焼き立てのぬくもりも手伝って、生地自体もほのかな甘さがより立ち込めて
ほんと美味しい〜。
友達も「今まで食べたあんパンの中で一番美味しかった!」と感動していた。

(うちの母にもお土産に買って帰ったのだが
「Bルグのあんパンのあんこに似てる!」とな。ええ? そう?)


これ以外にも、フロマージュ(カイザーの定番!)や、
トマトとオリーブ(これ絶品! カリッとした食感)、
クリームレーズンパイ(カスタードの中にラムレーズン)

宮の森の住宅街に美味しいパン屋さんが生まれた喜び。
自分の地元だからこそ、その嬉しさはまた格別なのである。





昨今、札幌ではなぜかベーグルブームなのである。
それまで、札幌にこれといったベーグルはなかったのだが
ここ近年、急増しているのだ。ベーグル専門店。

今回、どうしても行きたかったベーグル屋さんが手稲にあったのだが
GW中は全部おやすみなんだそう! がびーん。
東札幌の方にもベーグル専門店ができたり(定休日とのタイミングで行けず…)
なんだかんだ、すごいよ?! 札幌ベーグル!!

ルルドさんからクルマですぐのところにある、
「十勝ベーグル」の札幌支店。本店はなんと帯広(知らなかった!)。
ルルドさんにしても、この十勝ベーグルさんにしても、
「な、なんでこんな場所に?!」という場所だ。
最寄り駅はないし、クルマで来るしかないし、住宅街といっても
それほど密集した場所でもないし…謎だ。特にこの十勝ベーグルさんの場所は。

オリジナリティあるフレーバーのベーグルや、焼き菓子、サンドなどがある。

二人でシェアする用に買ったのは「インカのめざめとクリームチーズのサンド」。
我々の家の至近にある児童公園にクルマをとめて、ベンチで並んで食べた。
少し味付けが控えめすぎるけれど(黒胡椒加えたら美味しそう)
インカのめざめがベーグルの具になるのは斬新かも!

帰宅後に焼き戻して食べたのは、黒胡椒とチーズのベーグル。
それから岩塩が混じり込んだ塩キャラメルのベーグル。
どちらも、焼き戻すと歯切れがよい(よすぎ?)。
食感で食べさせるよりも、味で食べさせるタイプのベーグル。
黒胡椒ベーグル、熱々がオススメ!





5月の第2日曜日は母の日。
一週間早いけれど、母の日をかねて、
…いや、来月の父の日もかねてしまおう(笑)。
レストランのランチを予約していた。

またまたウィンザーつながりであるが、
ミシェルブラスでシェフを勤めていた方が独立されたお店が
これまた家から徒歩圏にできたのである。

ミシェルブラスで味わったあの浮遊感は忘れられない。
(05年の春、洞爺の天国に近いフレンチはこちらから。
いや、記憶の半分はあの「チョコ攻め」ではあるのだが(笑))



半地下にある、不思議な作りのレストラン。
道路側にも客席が、厨房を挟んで奥にも客席が。
残念、我々の席は日射しがあまり射さない空間だったのだが
(どうも写真を撮っていると、明るいところばかり好む傾向が(笑))

先に語ってしまうと、味、サーブのテンポ等、
正直満足度は低めだったのだけど、
味付けが非常に塩辛いのは、ワイン向けなのかもしれない。

アミューズブッシュは、ホタルイカと…なんのスープだか失念。
上に載っているのは「ハコベ」だそう!
トットちゃんのエサのイメージがあるハコベ。
初めて食べるかも…。

パンは自家製のライ麦パンのようだが、
酸味より、塩気が勝る、主張のあるパンだがちょっと尖った味わいかも。

前菜は、蒸し焼きの鶏胸肉と、南蛮海老にグレープフルーツのヴィネグレット、
キャベツのサラダを添えたもの。

山椒風味の黒ガレイ、根セロリの泡立てたピューレ、そして新ゴボウとキュウリ。
新ゴボウの酸っぱさにびっくり。

オリーブ風味のクリームを挟んだビスキュイ、薄く削ったパイナップル、
カルダモンの香る軽いムース。

以上、私がオーダーした4500円のランチ。

あの洞爺の夢のようなひとときを彷佛させるものはなかったのだが(残念)
親子水入らずの外食ランチもたまにはいいでしょう。
お金出すのは私なのだからいいでしょう(笑)。

帰りは、母だけタクシーで(笑)、私と父は家まで歩いて帰った。
途中の道沿いには桜がまだ咲いている通りがあった。
様変わりが激しい円山エリアの風景。
考えてみたら、もう○十年ここに住んでいるんだもん、当然のことかな…。





今日のランチは、高校時代の友達を巻き込んで
芸術の森の近くにある石窯のパン屋さんでランチを目論んでいる。
真駒内からクルマで20分くらい。
家の用事のために15時までに戻らなきゃならないので
やっぱりクルマ運転していくことにしようかな。
…あまり自宅のクルマ、運転したくないんだがな(笑)

真駒内といえば…
一軒、昔から存在はしっていても一度も来訪したことのない
パン屋さんがある。
友達を真駒内駅で拾う前に、ちょっと探してみよう。
自分でクルマを運転して真駒内に来る機会って、
ほとんど滅多にないのだから…。

うちのクルマをあまり運転したくない理由のひとつは、
カーナビがついていないことである。
いつもレンタカー借りている私、カーナビがなければどこにも走れないほど
ヒヨッているのである(笑)。

これから行こうとする、ベッカライコルプさんは、
わかりにくい住宅街の中にあるらしい。
そこで、携帯のGPSでナビをさせた。
携帯GPSは運転中は画面を見られないけど、音声ガイドに頼るのだ。
正直、このお店は、ほんとにわかりにくい。
何度か路地を間違えながら、ようやく見つけた!!!!

ほんっとに住宅街の中に突如あらわれるえんじ色のお店。
しかも…すごくかわいらしい。

こんな素敵なパン屋さんを未訪だったなんて、私ってバカ?(笑)

中も当然、とっても素敵!! 山小屋のパン屋さん。
とても素敵な奥様にお願いして写真を撮らせて頂いた。
お嬢さんがお店のHPを作っているとの話だが、
えええ?! そ、そんな大きな娘さんがいるなんて、
見えません!!!!(笑)

普段は東京に住んでいることを話すと、奥様はちょうど逆らしい。
東京(というか神奈川)が御実家だそうな。
かれこれこの札幌に移住して15年くらいがたつそう。
ずっとパン屋さんをやっていて、常連の方々に支えられて
評判のパン屋さんとのこと。
ええ、私も何度かこちらの評判は聞いていたのだけど、ようやくこられました(泣)

お店全体の雰囲気として、例えるなら改装前の昔のブロートハイムかも!
ドイツパンにデニッシュ、フランスパンも、所狭しと並んでいる。
ハーフで購入したフォルコンブロートがものすごく美味。
まあるい酸味で粘性が強く、コクがとても強い。
しばらく会社に持参し、キリのクリームチーズをまるごとサンドしてかぶりついてた。

他にもいろいろ購入♪
クリームパンは、典型的なグローブ型、
やわらかくてこってりとしたクリームがあふれだす。
クロワッサンやパイ系はさくさくホロホロの、細かい粒子系。
昼時に訪れたのに、珍しくパンが豊富だったらしい。
いつもはもっと早くなくなってしまうらしく…

私は今さらの新参者だけど、こんなレベルの高いパン屋さんが
昔からあったなんて、軽くショックを受けたのである(笑)。
昔から通い続けるお客さんがうらやましい。
札幌に来たパン好きさん、ぜひ真駒内の住宅街で迷子になってみてクダサイ(笑)






さて、友達を真駒内で拾い、彼女にナビを任せて向かうは芸術の森。
この石窯のパン屋さんは、イタリアンレストランを併設しており、
町中にも支店があるそう(ただし、パンは本店から移送)

芸術の森と言えば、札幌でもかなり南の郊外の方にあるのに
このお店はすごい人気のよう!
びっくり…満席で、30分くらいは待ち時間がかかった。
ドライブがてらに来るには遠すぎることはないのかもしれない。
オープンが2年前(06年)だそうだけど、ずいぶん年季が入っているように
思える店内(特にパン売り場の方。私たちがランチを食べたのは、増設っぽい新しい方だった)

パンは、素朴な石窯パンが並ぶ。
甘い系もハード系、多岐に渡るラインナップ。
カタチとかは無骨で、お世辞にも美人さんではなく、
なんていうか、「がんばってます」感が漂ってくる(笑)。

しかし、あとからあとから売れていき、
私たちが食事を終えたころにはもうすっからかんだった!
びっくり…飛ぶように売れるというのはこういうことなのだなぁ。

長らくおまたせしました、本日のランチ。
限定の手打ちパスタから選んだのは、
行者にんにくとベーコンのフレッシュトマトパスタ。
パスタ自体にも味わいがあり、ソースは好みの濃いめの味付けで、なかなか美味。
濃いのでビールが欲しいところだが、今は飲めないんですねえ〜(笑)

パンは、リュスティックと思われる、シンプルな白パン。
軽く暖めてから出してくれ、適度な塩加減がなかなか美味。
これで作ったサンドイッチのメニューもあるらしいが
そちらもすごい大胆なサンドのようである(笑)。

先に買っておいたパンたちは4種類。
どれもなんていうか…大胆といか…個性というか…アクが強い!
店内で食べてなかなか美味しかったリュスティックと、
ブルーベリーとチョコのライ麦パン
(ドライではないブルーベリーがそのまんま入っていたことにびっくり!
最初はびっくりしたけれど、次第に馴染んでくる)
はちみつパン
(ソフトパンにはちみつを染み込ませた万人好みの菓子パン。
クセの強いハチミツで、最初「?!」とひいてしまったのだが
これも、馴染んで来てパンがふにふにになったころが妙に美味しいが温めて食べた方がよい感じ…)
プティアンショワ
(アンチョビバターを載せて焼いている。
どこかカツオの出汁のような味わいでなんかクセになるぞ…酒のアテ系)


つかみどころのないパンたち、どこのものともつかないような…。
第一印象よりも第二印象のほうがよいような、不思議な感覚。
未食のクロワッサン(二種類あるそう)、いつか食べるのが楽しみである。





札幌に帰省したときはほぼ皆勤賞?!
大好きなマデュースさんにも帰りに立ち寄った。
いつも暖かいメールをくださるお姉さんとの再会に喜ぶ。


なにかしら新しいパンを毎回創作している彼女だが
今回はなになに? ジャバラ、夏みかんの皮の丸パン。
ジャバラ? 和歌山の柑橘類らしいのだけど
「邪」を「祓う」という意味があるんだそう。

「ほうじ茶で捏ねたシナモンと刻みクルミの丸パン」は、
かすかなシナモンの香りと、ほうじ茶の個性が現れているパン。
クルミは細かく砕いているので、口でその存在をキャッチすることは
ないのが面白い。いずれもマデュースさんらしい、ほのかな酸味のあとに
その具材の存在が浮き上がってくるのだ。

カフェの方で私たちがいただいたのはジュース。
私はいよかんジュースにしたが、ものすごく美味しいーー!
連れが頼んだジュースも絶品で、たまたまこのジュースたちを
頼んだことに勝利感を覚えてしまった(笑)。ガッツボーズだよー。

小さなひとくちチーズパンは、
トーマシラヌカ。チーズ自体ももちろん美味しいのだけど
生地の美味しさが際立ってます(笑)。

普段そんなにパンを食べない友達にも、「これがとにかく美味しいから!」と
薦めたのは、もちろんレトロバゲット。
感動的に美味しいクラストとクラムの甘さ。
こちらの独特の酸味のある美味しさに一度はまったら、
もうフツーにパン、食べられないよぉ〜
そんなおどしもウソじゃ無い。






またまた中学時代の友達Tちゃんと。
我々の家から至近の和食屋さんにて。
もうひとり、小中学校のときに一緒だったSちゃんも呼び出してくれた。
彼女こそ、まさに幼馴染みといってよいくらいに子供時代をしっており
登下校も一緒にしていたのだけど
中学卒業以来会うのは初めてだった。
ママになった今でも、全然変わっておらず面影そのまま。
なつかしい話にも花咲き、気付くともうこんな時間?!

この後、Tちゃんとスーパー銭湯にいき、クローズの25時まで
ゆっくり浸かって来た。私は実家のお風呂が使いにくくて
帰省のときは毎晩銭湯通いなのだが、
昨晩母に聞いてこのスーパー銭湯に来たばっかりだった。
今日もまたここ。しかもSちゃんも昼間に子供と入って来たそう(笑)。
大人気です…。





ここ最近、「海のパン屋」に来る時はどうも天気に恵まれないよう。
ナビはなくてもここへの道は迷わず行ける。
下の道から行けば札幌から1時間半。
そう、この「海のパン屋」のためだけに、クルマを西へ走らせる。

通算7度目(!)の来訪の「海のパン屋」さん。

14時半に到着してみると…
ひっ! 「売り切れました」の看板?!
言わんこっちゃない…
ひっきりなしにお客が立ち寄り、
落胆しながら引き返していく。
この辺境の地であっても、いつだってここのパンを求める人たちが後を絶たない。

引き返すお客さんを横目に私は階段をかけ登る。
最小限ではあるけれど、最低限の予約だけはしておいたのだ。
ほら、何度も痛い目を見ているからね(笑)。


予約をしていたのは、私と母の分のクロワッサン。
パンオショコラ、フルーツロデブ、そして酔っぱらったフルーツパン。
あとは直接お店で決めようと思っていたのだが…
無念、今回はこれだけ。

もちろん、クロワッサンはその場でかぶりつく。
空はグレーで風が強く吹き抜ける日であっても
ここに訪れたもののみが許される「儀式」を…。

海に向かい、まだほのかに温かいクロワッサンにかぶりつくと、
その瞬間、目眩を覚える。美味し過ぎて、このまま崖から転がり落ちてしまっても
おかしくないほどに…ほんとうによろめいてしまうのだ。

「ここのクロワッサンを食べてしまうと、他のが食べられない」
母はいつもよくそう言う。
私もこれを食べている瞬間は心底そう思う。
日本中、いや、世界中どこを探しても、これほどのクロワッサンは
どこにもないと断言できる。

もちろん、普段の生活では「他のが食べられない」なんて
ことはなく、他の美味しいものに出会うたびに感動をリセットする。
我ながらよくできている(笑)。
だけど、やっぱりここに来ると、再確認してしまうのだ。
「ここのクロワッサンを食べてしまうと、他のが食べられない」
ということを…

強さと甘さと永遠に感じられる余韻。
これがなければ、こうも幾度も足を運ばせはしないだろう…
それほどのものがこの海の前に、空の下に、存在するのだ。

今、大きなクロワッサンを食べ切ったところだというのに
パンオショコラも一度に食べ切ってしまうの、いつものことだけど。
2つ食べてももたれたことが一度もない。
むしろ、なぜもっと買わなかったのだろうと…

これとクロワッサンだけは何がなくても。
フルーツのロデヴ。
ほんの少しだけ端を齧ると、たちまちオレンジの鮮烈さが
カラダを駆け巡る。ひとくちだけでその美味しさが隅々まで伝わっていく。

「これほどのパン屋さん、どうしてここに存在するのだろう」
いつもそんな愚問が心をよぎる。
止め退きがわからずに、パンを抱えながら、海を眺めていた。





さて、最終日。
記憶が定かでないが…
誰かに聞いたのだっただろうか、千歳にあるパン屋さんのことを。
どうしても行かずにはいられなかった店がひとつある。

飛行機の離陸は11時。
お店のオープンは10時。
お店から空港まではクルマで15分くらい。
一か八か、行ってみよう!
父に頼み込んで、寄ってもらうことになった。
長居はできない。きちんと10時にオープンするかを確かめてから
携帯のGPS頼りに、クルマを進めてもらった。
chiisana*me
駅近く…とはいっても、快速エアポートすら止まらないような小さな駅。
新興住宅地といった感じの、まだ家がまばらな住宅街。
すぐそばには地平線が見えるようなのどかな場所だ。
10時10分前くらいには到着し、10時ちょうどになるまで足踏みをする。
どこからともなく、クルマでお客さんが来て
オープン前にはすでに3組の人が集まった。
いったいどこからやってくるのだろう…

わああ…。しばし絶句…

手作り雑貨のあたたかみのある空間に、パンの顔つき。
ちいさなちいさなお店だけど、ぬくもりとやさしさが
あふれていて、圧倒されるくらいだ。
ああ、時間がないのに、どのパンも魅力的で選べない…!

10分くらいだっただろうか、お店の中にいたのは。
まだオープンして10分なのに、代わる代わる訪れるお客さん。
お写真を撮らせて頂きながら、食べる前から感動していた。

ベーコンエピとどちらにしようか迷った厚切りベーコン。
赤身たっぷりのベーコンがまるまるとパンに挟まれていて
これがものすごく美味…! ベーコン自体もとても美味しいものを使ってる。
というか…パン、すごい美味しいです…!!!

空港に向かう中、あまりの美味しさに食べ切ってしまったクリームパン。
ちょっとの力でつぶれてしまいそうなはかないやわらかさの生地に、
白いクリームが。このクリームに衝撃を受けた。
小さい頃に食べたことがあるようなノスタルジックなクリームなのに、
どんなパン屋さんで食べたことがないような味…!
ちいさなめ…どころか、目がまんまるく大きくなっていく。

タマゴの味わいでふわっとやさしく、
こってりしておらず、むしろ爽やかさを感じさせる。
まちがいなく、これまでのクリームパンで一番美味しい、
そう確信した。まさかこの場所で出会うなんて…!!!

濃い焼き色のクロワッサンも、香ばしさがとにかく強く、
鼻から焦げ味の旨味がすぅっと抜けていく。

ヴィエノワズリーも超・本格的。
ダマンドは、しっかりハードで、中にもクリームがサンドされて
しっかり焼き込まれている。
リンゴのクロワッサンは、シロップ漬けのりんごが中に、
表面にもキャラメリゼされたような甘苦さがあり絶品…!

他にも小さなエピや、あんパンなど、
どれもこれもが、私のストライクゾーンをスパーンと打ち抜いた。

この客足なら、きっと午後には品薄になっていることだろう、
こんなにパンに満たされた状態でこのお店にはじめてこられたことを
感謝したい…!
このお店に通うために、飛行機の時間は計画的に(笑)。

また、こんなお店に出会えてしまったことに
喜び以上に、驚きを隠しきれない自分。
パンに出会える、与えられる喜びは、
いつになっても尽きないということに…





今回、私は実家で昔の自分をひもとく作業を行っていた。
懐かしい自分の昔のもちものを整理していたのだが
ひゃー、、、こんなものにはまっていたんだったな、あのころは。
小学校のころ、中学校のころ、高校のころ。
あんなものやこんなものがごろごろ出て来て
われながら驚いた。正直、ハズかしい気持ちの方が大きい(笑)

まさかこのころは想像もしていなかったに違いない。
今の私がこんなにパンが好きなパン好きになるなんてことを。
もちろん、この先の自分のことだって何もわからないけれど
ひとつ確信できていることはひとつ。

ずーーっと、私は、パンが好きってことなんだろうな、ってこと…。
パンに生かされている今を、幸せに思える。
きっとこの先も。
ずっと。
2008.5.2〜6



ESSAY TOP

HOME




-----------------------------168072824752491622650073 Content-Disposition: form-data; name="userfile"; filename="" Content-Type: application/octet-stream